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宮川 和也; 石井 英一
no journal, ,
炭酸塩はその形成時に、地下水水質の変遷履歴などの古水理地質情報を記録している可能性があり、地下に形成された炭酸塩脈は、過去の環境の変遷を知る手掛かりになる。本研究では、北海道北部の新第三系海成堆積岩である声問層と稚内層中に見られる炭酸塩の産状に見られるコントラストについて、COの供給の観点からその成因を検討した。その結果に基づき、炭酸塩脈の形成プロセスを次のように整理した。声問層のような比較的浅部にあり、有機物の続成作用であるダイアジェネシス期を経る過程においては、地下水中のCOは、有機物の微生物分解や低温熱分解により供給されると共に、微生物活動によりCHへと還元される。一方で、稚内層のような比較的深部にあり、ダイアジェネシス期を経てカタジェネシス期を経験した後に隆起した地層では、有機物の低温熱分解あるいは微生物分解は十分に進んでおり、有機物は分解しにくい状態にあると考えられる。このため、このような地層中では、微生物によるCO還元反応によりCOが消費される結果、平衡反応の移動により炭酸塩が沈殿しやすいことが考えられる。声問層のような環境では、COの消費とともに、有機物分解によりCOが供給されるため、炭酸塩は沈殿しにくいことが考えられる。このように、炭酸塩脈のコントラストの成因が説明される。ここで得られた知見は、本地域のみでなく他の地域における炭酸塩の成因を考察する上で有益な示唆を与えることができる。
平野 伸一*; 若井 暁*; 上野 文義; 岡本 章玄*
no journal, ,
嫌気条件下の金属鉄の微生物腐食に関して、鉄から直接電子を引き抜くことでカソード反応を促進し顕著な腐食を引き起こす電気微生物腐食(EMIC)が報告された。これまでに、海水環境下からEMIC能を持つ硫酸還元菌、メタン菌が分離され研究が進められているが、淡水環境でのEMICの知見は非常に限られており、EMIC能を持つ微生物の腐食リスクへの関与は不明である。本研究では淡水環境である河川、地下水を対象としてEMIC能をもつ微生物を探索し、その腐食能を評価することを目的とした。その結果、淡水環境でEMIC能を有するメタン菌を初めて見出し、炭素鋼の腐食速度は0.36mm/yと海洋由来のメタン菌と同等の高い腐食活性を示した。